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練は洗面所へいくと、顔を洗い、鏡を見ながら髪を整え、それからリビングへ向かう。リビングには、瑞希と兼が、革張りのソファーにすわっている。練もソファーに座ると、兼に話しかける [ひげを剃りたいんですけど、どうしたらいいですか?] 新聞を見ていた兼が[ああ、そうかあ、それじゃあ、これ使っていいよ、君にあげるよ。] そう言って、近くにあった、マッチ箱ぐらいの、大きさの物を練に手渡した。練は[これはなんですか?] と兼に質問する。兼は [ それはヒゲソリの機械だよ、髭にあててみて、毛根からまるごと吸い込むんだよ、痛みもないよ。] そう言って、新聞を読み始めた。練は、近くにおいてあった手鏡で、顔を見ながら、その小さな箱を鼻の下にあてると、髭の抜けていく感覚がある、その箱を鼻の下から離して、手鏡で顔を見ると、髭がなくなっていた。練は、他の部分の髭も、処理すると[これは便利ですね。] と感動した様子だ。そんな練を見つつ兼は、話しかけてくる [昨日、強盗にあったんだって?怖かったでしょ。]練は昨日のことを思いだし[はい、それで二十万円、とられてしまいました。] そう答えると、兼は悔しそうに [二十万円かあ、もったいなかったなあ、よし今日中に、とりもどすことにするよ。] そう言うと、不適な笑みを浮かべた、練はその笑みに、ゾクッとしたものの [犯人を捜すんですか?] そう質問すると、兼は、読んでいた新聞をたたみながら [いや、犯人を捜すんじゃなく、お金を取り戻すんだよ。] 兼はふたたび、ニヤリと笑みを浮かべた。練はその笑みが気になりつつも、こっちの世界の新聞が、読みたくなり [兼さん、新聞みせてもらってもいいですか?] と聞くと兼は[ああ、いいよ、新聞は向こうの世界では、毎日読んでたの?] と新聞を手渡しながら、聞いてきた。
練は、新聞を開きながら [そうですね、一応目を通すようには、していました。] と言った。練は、新聞のページをめくりながら (犯罪事件が全然のってないな、事件はおこっているのに、事件に興味が、無いわけじゃないとは思うんだけど、やっぱり警察がないんだな、こっちの世界では、これで普通なんだ。) 練はそう思い、新聞をめくっていくと、ある記事に目がとまる、戦争の記事だ。それはA国とB国が、戦争を開始したというものでその理由が、A国で行われた大統領同士の会談で、話し合いの途中で出されたコーヒーがぬるく、B国の大統領が怒りをあらわにして、会談の途中で帰ってしまったからというものだった。練はその記事を読むと、兼に質問した [あの、この戦争の記事なんですけど、読みましたか?] 兼は少し眠そうに[ああ、読んだよ、どうかしたの?あ、コーヒー飲もうよ。] 兼はそう言うと、コーヒー豆をキッチンから持ってきて、テーブルへ置き、ゆっくりと呪文をとなえ、コーヒーカップに入ったコーヒーを二つだし、一つを練に手渡した。
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