こちらの世界

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葵は、目線を瑞希へ移すと [まあ、この子も小さい子どもとはいえ、悪魔ですから、ああいうことを言うんですよ。] そう言うと、またバックミラーごしに、練を見る。 練は [ああいうことを、本気でいうもんなんですか?] そうたずねると、葵はフッと笑い [そうなんです、本気なんですよ、私にもそういうこと言うんですよ。ちなみに主人も、そういうこと言いますよ。] 練は、葵が少し可哀想になり [大変ですね、悪魔と一緒に生活するって。] そう言うと葵はびっくりしたように [え?大変じゃありませんよ、全然大丈夫です、こちらの世界では普通のことですよ。] そう言う葵をみて、練は (ちょっと感覚が違うみたいだな、こっちの世界では、これが普通かあ。) そう思うと、あっちの世界が妙に、懐かしく感じた。 車は幼稚園へ着くと、駐車場へととまった。建物はレンガ造りで、お城の形だ。葵はバックミラーをみて、髪型を気にすると、練に  [それでは瑞希をおくりとどけますので、車で待っていて下さい。] そう言うと、瑞希に声をかける [瑞希、それじゃあいくわよ。] 運転席を降りて助手席へ行き、ドアを開け瑞希を下ろし、手を繋いで建物へとむかって行った。ほどなくして葵が帰って来ると、運転席のドアを開け、乗り込む [次は病院ですね、じゃあ、行きましょう。] 葵はそう言うと、エンジンをかけ、車を発進させた。練は窓の外を見ながら、葵に質問する [病院はここから近いんですか?]     
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