こちらの世界

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練は葵のところへ行くと、隣にすわり [こういうことなんですね、もう完治だそうです、いきなり治療を始めるので、びっくりしました。] そう言うと、葵は [こちらの世界は、呪文で病気やけがをなおすので、すぐに元気になるんです、いい経験でしたね。] そう言って、笑顔を見せた。二人は受け付けを後にすると、エレベーターに乗り込み、一階へ行き、会計をすませると、病院を出て駐車場へ向かった。葵は腕時計をみると [十一時四十五分ですね、これから昼食にしましょうか、何か食べたいものはありますか?] そう聞くと、練は少し考え [蕎麦とかどうですか?麺類がたべたいんですけど。] [そうですね、ちょうどこの近くに蕎麦屋さんがあるので、そこに行きましょうか。] 車へ着くと、葵は運転席のドアを開け乗り込み、練は助手席へ乗り込んだ。葵はバッグを後部座席へ置くと、車のエンジンを始動させ [それでは行きましょう。] というと、車を発進させた。練は、あわててシートベルトを装着し [蕎麦屋さんまで、どのくらいかかりますか?] と聞くと葵は、左手で前髪を気にしながら [そうですねえ、七分ぐらいかかると思います、ただお昼時なので、込み合っているかもしれませんねえ。実は二店舗、隣同士で建っているんですけど、片方は白い建物で、もう片方は黒い建物なんですけど、夫婦で経営していらっしゃるんですよ、奥さんが白い店で、旦那さんが黒い店です。私は出来れば白い店へ行きたいんですけど、混んでいるんですよね。] 練は風邪が治り、体調がよくなったのか、急にお腹がへってきた [白い店のほうが、美味しいんですか?] と聞くと、葵はちょっと困った顔をして [メニューも味も、同じなんですけど、黒い店は量が多いんですよ、あとは喫煙してもいい店なので、タバコの煙がすごいんです。]     
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