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「仕事は大事だし、大変な時ならそっちに集中したいのが普通ですよ。俺だってわかってたのに、あんな、責めるみたいな言い方になっちゃって。すげえ自己嫌悪で」  自分の唇がすらすらと動き始めたのをどこか他人事のように感じながら、果たしてこれが核心なんだろうかと迷っている。 「俺のことなんかいいから休んでって、言いたかったはずなんだけど。そう聞こえないような言葉、わざと選んだのかもしれない……です」  ああ、なんだかやっぱり、責めるみたいな言い方。  また失敗したかもしれない。重大な予感に心は青ざめているのに、ステアリングからは手を離せないし、前を見てなくちゃいけないし。慧斗のそんな歯痒さを、穏やかな失笑が払う。 「少しくらい責めてくれたほうが、俺も気づくよ」 「……何?」 「きみの横に座ってる人、なにげにいつも、きみに甘えてんだぜ?こないだだって、ほったらかしのわりに、傍にいてもらわないと困るくらいのことは思ってた。今日だってこれから仕事あるのに、迎えに来させたりしてな」  人は、あまりに思いもよらない話を聞かされた時、自分に関係のある単語にしか反応できないらしい。 「……仕事っつっても、ただのコンビニですよ」  今度は明るい失笑が弾けた。 「ただのってことはないだろ」 「海外出張ないし」 「弁当をあっためて、日々、誰かを救ってる」     
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