179人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
新太がそっとさくらさんを引き寄せた。その表情、仕草! 見ているこっちがこっぱずかしくなるほどいちいち愛情ダダ漏れなんですが。
「さくらさんごめん。嫌な気持ちにさせちゃった?」
新太がそう訊ねると顔をあげてふるふると首をふって微笑んだ。
「聡太くんも凄くフォローしてくれたし新太くんは……その……」
言い出しにくそうなさくらさんの言葉をあえて引き取ってつけたしちゃう。
「めちゃくちゃ彼女のことが好きだの、120%別れないとか、公衆の面前でしれっと言われたらそりゃ激しく照れちゃいますよねえ?」
「いいじゃん、本当のことだし」
新太は全く照れる様子もなくシレッとそう言い切った。さくらさん、また顔をあかくして俯いちゃったよ。かわいいー。一方の新太は全く悪びれる様子なし。かわいくねー。こいつ絶対1回フラれかけて開き直ったよ。こりゃさくらさん大変だ。
「ハイハイわかりましたよ。じゃあ俺、会場の片づけに行くから」
さくらさんがああそうそう! と小さく叫んで俺をみた。
「結ちゃんたち、さっきの教室のまえで聡太くんのことを待ってるって」
「あー、わかりました。ありがとうございます」
平静を装ってそう応えたけれど、結ちゃんが俺を待ってくれているのはかなり嬉しい。もしこのまま別れていたとしても、中村経由で絶対連絡はとろうとは思っていたけど。新太がチラッと俺を見たから、なによ? って聞いたら別にって笑う。うーん、なんだかキモチ悪いな。
3人で部室を出て俺はLL教室へ、新太とさくらさんは出口にむかうために、階段の踊場で別れることに。
「新太、今日はホントありがとう。助かったよ。さくらさんも一緒にきてくれてありがとうございました」
最後に筋は通しておかないと。ぺこりと頭を下げるとさくらさんは、今日はお疲れ様またね、そう言ってにこりと微笑んでくれた。
一方新太はなぜかいきなり俺の腕をつかんで自分のほうに引き寄せると、耳もとでささやいた。
最初のコメントを投稿しよう!