前編

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 新太の視線の先を辿る。そこにはさくらさん! あの不機嫌大魔王をあんな笑顔にしてくれるなんて、さくらさん神!   さくらさんは、新太が溺愛している年上の彼女だ。そして、ヤツの人生史上初めての彼女。つまり初恋の相手が今の彼女って、少女漫画かよって思う。  新太がモテなかったわけじゃない。むしろモテていた。弟の俺がいうのもなんだが、見た目はまあカッコイイ部類にはいるだろう。いわゆるジャニーズ系ってやつだ。だから中学、高校と結構女子に人気があったのに、彼女らに見向きもせず、ストイックにゲーム一筋。  バレンタインで家までわざわざチョコをもってきた彼女たちの対応は全部俺がしてやった。ちなみに貰ったチョコも俺が全部食ってやったけど。  そんな新太が大学にはいった直後、いきなり恋におちたのが、四年生のさくらさん。新太の女子禁制の封印を一瞬で解いたのも納得の美人さん、しかも性格もかわいらしい。詳しくは聞いてないけど、新太が押しまくって落としたに違いない。女の子慣れ、全然してないくせに、どうやってさくらさんみたいな人を落とせたのかは、いくら聞いても口を割らない。     
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