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いわゆるブラック企業で働く僕は、サービス残業、サービス出勤を含めた7連勤を乗り越え、力尽きてスーツのまま寝ていた。
僕を眠りから覚ましたのはスマホの着信音だった。
画面を見ると友人からだ。
時間は深夜の12時過ぎ。
昼間に帰ってきてそのまま寝たから半日ほど寝ていたことになる。
寝ぼけつつも電話に出た。
「もしもし」
「その声は寝てたか?ごめんな。でも大事な話なんだ。できればすぐにでも俺の家に来て欲しい」
友人は落ち着いた声ではあったが、いつもより少し早口だった。
僕は頭がしっかりと回ってなかったこともあり、1時間ほどしたら行くと言って電話を切った。
シャワーを浴びたり歯を磨いたりと準備をし、余っていた菓子パンの袋を破り、パンを口に咥え、外に出て部屋の鍵を閉めた。
アパートの敷地内からでてすぐ目の前にある自動販売機で温かいコーヒーを買って一口飲んだ。
寒さを感じる身体に染み渡っていく。
昼間には春の陽気を感じることもあるが夜中はやはり冷える。
パンとコーヒーで食事を済ませつつ歩いて友人の家に向かった。
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