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夜中で出るかは不安だったが6コールほどして出た。
「もしもし。遅くにどうしたの?」
声ははっきりとしている。寝ていた訳ではなさそうだ。
「いやちょっと聞きたいことがあってさ。今大丈夫?」
「いいけど友達といるから長話はできないよ?」
「わかった。早めに終わらせるね」
僕は一息ついて話し始めようとした。
すると電話越しに声がした。
「ねーまだー?誰と話してるのー?」
男の声だ。
恵は聞こえてないと思ったのかそのことには触れず
「どうしたの?」
と話を促してきた。
「……今の男の声誰?」
「男?そんな声した?居酒屋にいるから別のお客さんの声じゃない?」
何かを隠すように少し笑いながら言っているように感じた。
「誰といるの?」
僕がそう言いかけると電話越しにさっきの男の声がした。さっきよりも明らかに電話に近い。
「恵が誘ってきたんだからあんま待たせるなよー」
僕はその言葉を聞いて身体から力が抜け、スマホを耳から離した。
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