お返しは、君の心臓で。

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 それが何故か授業中だった事はさておき――担任の先生が無理に彼女を自分の教室へと戻さないのは、彼女を何事もなく教室へと戻す事が出来るのは僕だけだと思っているからだろう。――僕の手に渡った小さな小箱を振ると、カタカタと音が鳴った。「開けてみて」と彼女は言う。「あとじゃ駄目?」「今、開けて欲しいの」  きっと皆は、この箱にチョコレートが入っていると思っているに違いない。そもそも、今日はバレンタインデーなのだから、彼女が彼氏である僕に渡すものはチョコレートである事を疑う人は居ない。ただ僕は、この箱にチョコレートであれば良いのだけれどと思いながら、小箱を開くのである。 「えっと……これは?」  箱を開き、中身を確認した僕だが、念のため彼女に確認してみた。 「ふふっ。それね、私の心臓」
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