1話

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ

1話

夜、正義は病室にいた。 ベットには恋人の祭が人工呼吸器に繋がれながら眠っていた。 祭は半年前に事故に遭い病院に運ばれたもののずっと昏睡状態のまま目を覚まさずにいた。 正義はいつか目を覚ますと信じていたがしかし祭の両親はこれ以上祭を苦しませるよりも安楽死させて楽にさせてあげたいと考え正義も辛かったがそれを受け入れた。 そして今日が最後の夜だった。 正義は今まで味わった事がない悲しみに心を痛めていた。 人生に挫折し未来が見えなくなった時、祭と出会った事で正義は未来に進む力をもらう事が出来た。 正義にとって祭は天使のような存在だった。 そんな祭を失うと考えると正義は胸が痛くそして死にそうな感覚に陥ってしまう。 そしてこれからどう生きていったら良いか分からなかった。 ふと足元を見るとそこにUSBメモリーが落ちているのを発見した。 「誰のだ?」正義は呟いた。 正義は持ち主の情報がないか確かめるため持っていたパソコンをカバンから出しそして接続する。 画面を見るとそこには虹色の画面が広がっているだけだった。 「何だこれ? 故障か?」正義は不思議そうに見る。 その時、画面から大量の光が飛び出し正義を包み込む。 目を覚ますとそこは自分の家だった。 「何だ、今の?」正義は混乱した。 そして病室から家に移動している事に気付いた。 「あれは…夢だったのか…」 正義は病室にいた記憶を夢だと考えたが部屋を見渡すと何か違和感を感じた。 そしてカレンダーを見ると6年前の3月になっていた。 「何で6年前の年前のカレンダーがあるんだよ」正義は不思議に感じた。 そしてリビングに行くとテレビがついていた。 そこには6年前のニュースが報道されていた。 正義はパニックになる。 そこに母がやって来た。 「もうすぐ高校生だね」母は笑顔で言った。 正義は耳を疑った。 「何言っているんだよ。俺は今、大学生だよ」 「あなたこそ何言っているの? もうすぐ高校生よ」 正義は意味が分からなかった。 そしてふと部屋に戻りそしてパソコンを見るとそのパソコンは壊れて捨てたものだった。 正義は思い出した。 あのUSBの事を。 そして時間が巻き戻った事を。 正義は考えた。 自分がいた時間は2018年で21歳だがそれが6年前に巻き戻ったという事は2012年で自分は15歳になっている。 そしてさらに気付いた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!