エピローグ

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 父が個人企業を興し、あとを継いだ私は不安でたまらなかった。でもなんとか試練を乗り越えていった。時には誤った判断を下したりもしたが、それ以上に私の下した判断は正しいことが多かった。それからしばらくして、私の片腕となる、佐々木勝治が彗星のように現れた。  佐々木は、田中知也、木村清という部下を従えてきたが、二人とも優秀だった。  父のあとを引き継いでから、私は経営責任者の重責を任せられる適当な人材を探してきた。その人に任せることができれば、日常的な決裁をする重荷から解放される。佐々木勝治と二人の部下の出現で、私はようやく求めていた人材に巡り会えたと思った。  佐々木は絶大な信用を集めたし、役員も、社員たちも彼らに敬意を払った。私もやっと肩の荷をおろし、『ローズ』の経営だけに専念することができた。  重要事項に関しては、いまだに私は役員と決議していたが、日常的な業務の半分は佐々木に頼った。佐々木は堅実に役目をこなし、会社の業績は上昇を続けた。
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