エピローグ

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 八千代と仁保にはこのことは話していない。真実を伝えることが、彼女たちにとってひどい仕打ちになるとわかっているからこそ、隠し通してきた。  今、彼女たちは幸せなのだ。私の家の中は笑い声で溢れている。たとえ、邦彦と森行が生きていたとしても、彼らはまたいつかは彼女たちの信頼を裏切り、不幸の道へ導くだろう。  人には二つの家族がある。  一つ目は与えられた家族。これはどこに生まれるか自分では選択できない。  二つ目は自分で作る家族。これは選択することができる。  夫がいない家族でも一人家族でも幸せなら、何だっていい。私はこの形態の家族を選んだ。そのことには十分、満足している。きっと八千代も仁保も、その子供たちも同じ気持ちだろう。
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