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それからすぐに仁保は山口森行と教会で挙式した。八千代の想像通り、仁保のウェディングドレス姿は美しかった。
「うまく歩けないの」
仁保の純白のドレスの裾は長く、八千代に困惑の笑みを浮かべた。
「美しい花嫁の些細な犠牲よ」
八千代は彼女に言い聞かせる。
白いタキシードに身を包んだ新郎の森行は物腰の柔らかい、爽やかな青年だった。二人が誓いの言葉を口にし、夫と妻としていかにも幸せそうに通路を歩いてきた時、八千代は涙を浮かべていた。
「仁保、とても綺麗よ」
「ありがとう」
彼女は気品のある微笑みを浮かべた。その微笑みを見ているうちに八千代の思いは過去へと遡っていく。
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