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ふと目線を向けると、新郎新婦は大勢の人に囲まれて祝福を受けていた。八千代は喉までこみ上げてきたものを呑み込んだ。八千代は以前から、いつかはお互いに家庭ができて頻繁には会えなくなることをわかっていた。でもそれはまだ近い未来だと思い込んでいたのだ。
……自分勝手なことを考えてはダメ。
八千代は自責の念に駆られる。
……邦彦さんのことで仁保を疑い、仁保が人妻になることに孤独を感じるなんて。仁保が幸せなら自分も幸せよ。
一番輪の外にいた八千代は静かに皆の中に入っていった。
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