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笑顔で迎えたのが、山口仁保だとわかり、八千代は驚いた。仁保はしなやかな体つきに似合う、コットンシャツとデニムパンツを見事に着こなしていた。
「仁保、ど、どうしたの?」
「まだね、食器類が色々と揃っていなくて……。いつかは八千代のお店に行ってみたいと思っていたから……」
はにかむような笑顔の仁保に、
「いらっしゃいませ」
と、町子の明るい声が迎えた。
ゆっくり店内を歩いて回る仁保の姿を八千代は微笑ましい気持ちで見ていた。新婚の仁保の食卓にはどんな素敵な食器が並ぶのだろう。
アンティークの絵画をあしらったポットとカップのところで仁保の足が止まる。カップを手にとってまじまじ眺めている仁保の顔は幸せそうに輝いている。
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