突然の病気

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 カフェで八千代と仁保はコーヒーとサンドイッチを注文し、ソファーに腰を下ろした。この時、仁保が話ししたいことがあるのではないかと感じた。  運ばれてきたサンドイッチを八千代は一切れ、食べる。仁保はコーヒーを一口飲むと、大きく息を吸って、一気に語り出した。 「こんな時にこんな話で申し訳ないのだけれど……。私ね、『子宮腺筋症』っていう病気なのよ。最初はあまりにも月経痛が酷くて受診したのだけれども、超音波やCTスキャンやMRIなどを受けることになってね。それでそのことが判明したの」 「子宮腺筋症……」 八千代はその病名を聞いたことがあった。叔母がその病気を患っていたからだ。  子宮内腔を覆っている組織である子宮内膜と非常に似た組織が子宮筋層内に発育するものである。原因はエストロゲンがその発生、発育に関係するが、エストロゲンが過剰に分泌されているというわけではない。直接的な原因は何らかの機序で子宮内膜組織の一部が子宮層内に侵入したことによるとの説がある。
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