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徹からわざわざメールが来ていた。 開いてみると、 『お前を心配してるんだぞ。チーム長が、お前と本気で付き合う訳がないだろ。チーム長にしたら、お前と付き合うメリットがまるでない。馬鹿げた夢をみんのはやめとけ』 という最悪におせっかいな内容だった。   チーム長はメリットなんかを考える人じゃない。 確かに異常なくらいにイケメンだし、仕事も出切る。男としての魅力も申し分ない。それにトントリーホールディングスの会長の孫で将来的には社長になるかもしれない人物だ。お金持ちで将来的にも有望。 だが、確かに冷静に考えてみれば、チーム長と私は凄く違いすぎる。私は地味なしがない会社員だし、家だってごく普通な家庭で金持ちでもない。 確かに徹の言うようにチーム長が私にこだわる理由がまるでないのだ。むしろ、こだわる方がおかしい。 それは前から思っていた疑問でもある。 『遊ばれる前にやめとけ。傷つくのは、女のお前だけだぞ。俺とチーム長、同じ部署の奴二人と付き合うなんて、お前は今後、最低な尻軽女ってレッテルを貼られるだろうな。それにチーム長に遊ばれて飽きられたら、お前は会社をクビになるかもしれないな。なんせ相手は、後々社長になる男なんだから』 男の長文メールほど、気持ち悪いものはない。 でも、読んでいくうちに翼の顔色は青ざめてきていた。 確かに今はいいかもしれない。だが、徹との恋にあっけない終わりが訪れたようにチーム長との恋にも突然終わりが来ないとは限らない。 だとしたら。
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