49人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよう」
目黒が営業部のフロアに入ってきた。
離れたところから見てもため息がでるほどに、カッコいい。
背が高いから、仕立ての良さそうなスーツが良く似合う。
はっきりした顔立ちは、正統派の二枚目だ。
目黒は翼と視線が合うと、少し目を細めて口角をほんの少しだけ上げた。
自分だけに向けられた特別な表情。そのイケメンな笑顔に胸がきゅんとなってしまう。
遠目でも十分にカッコいいチーム長は、近くでみると更にイケメンなのを私は知っている。
くっきりした二重瞼が華麗にまばたきをし、再び瞼が開いたとき、チーム長の瞳の中に自分の姿が映っていた。あの時、私は心が震えるような感動を覚えた。
あの高く美しい鼻がキスの時、私の微妙に低い鼻先に触れた。
あの薄めで形の良い唇が、私の特徴のない唇に触れ、時には挟んだり吸ったりもしたのだ。
そのどれもが夢みたいで、頭も体も地面にとろりと、とろけ出しそうになっていく。
かあっと頬を赤く染めて、翼は俯いた。
脳ミソがわいてきそうだ。チーム長のせいで私は頭がどうかなってしまいそうだ。
周りの女子社員たちがやけに高い声を上げる。
「見た?私の方見て微笑んだわー」
「やだ、目が合ったのは私よ」
最初のコメントを投稿しよう!