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「馬鹿ね。目黒チーム長は、みんなに微笑んだのよ。将来社長になるんだから、今から身近にいる部下は手なずけて置かないと」
「あんたってクールね」
「当たり前よ。馬鹿みたいな夢なんか見てらんないわよ。もう若くないんだから」
若くない。
そう言った女子社員は、私より後輩だ。
だから、余計に気になってきてしまう。
私ったら、若くもないんだった。
後輩女子社員の言葉に翼は胸を押さえた。
馬鹿みたいな夢を見る年齢ではない。
私は馬鹿みたいな夢を見ているだけなんだろうか。
顔を上げ社員の頭の先にいる目黒を見つめた。
パソコンに向かう目黒はメガネをかけていた。
メガネ。
初めて見た。
いつもメガネなんかしてないのに。
元々は視力が悪いんだろうか?いつもはコンタクトをしていたのだろうか?
あまりに激しい視線を感じたのか目黒が翼の方へ顔を向けた。
慌てて首をすくめ体を縮める。
見てたのばれたかな?ううん、ほんの少しだけだし目も合ってないはず。
少しして、スマホが再び震えだした。
震えるスマホを眺めて翼はため息をつく。
全くしつこい。徹ったら、いつまでメールしてくるつもりだろう。
スマホに手を伸ばし、画面を嫌な気持ちで見る。
画面に表示された名前を見て、驚きのあまりスマホを落としそうになっていた。
新着メールは、一件。
送り主は、目黒チーム長。
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