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スマホを手から滑り落とさないように気をつけ、受信メールを開いてみる。
なんだろう。
もしかして、さっきの続きの話だったりしたら、とうしよう。
翼は熱くなる頬を左手で押さえた。
今夜空いてるとか、今夜会える?だったりしたらなんて返事しよう。
さっきの続きだとしたら、ああなってこうなって。
こんなにってなって、えっ、急にそんなにって風になるわけで。
浮かれていた翼は口元を緩ませながらスマホの画面をガン見した。
だが、翼の馬鹿みたいなにやけ顔がみるみる仏頂面に変わっていく。
『明日のプレゼンだが......』
何度も読み返して、他に新着メールが届いていないかどうかの確認をした。
ない。
色恋的な話が、なんにもない。
翼はスマホを再起動させてみた。
画面の真ん中に嘲笑うようにかけたリンゴが現れる。
やはり新着メールは届いていなかった。
真面目な仕事内容のメールだ。
隠しメッセージ的なものもない。
人というのは時としてあり得ない行動をする。この時の翼もそうだった。
スマホを裏返したり、持ち上げて振ったりしてみたのだから。
変だな。本当に仕事のメールだけだ。
もう一度振ってみる?
首をかしげる翼は、肩をとんとんと叩かれていた。
「はい?」
振り返った翼は、ごくりと唾を飲み込んでいた。
「ち、チーム長」
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