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翼の指先が目黒の顔に触れた時、目黒はピクッとして驚いた表情を浮かべた。
そんな目黒を見て初めて、翼は自分がしでかした行動に気がつく。
「あっ!ごめんなさい!」
目黒の顔から急いで手を離した翼。その手を目黒が捉え、ぎゅっと握る。
「朝から…誘ってるのか?」
「いえ、まさか!誘ってるとかじゃなくて、私より綺麗な肌だから、お手入れとか、そのぅ、特別にしてますか?」
「お手入れ?」
「はい、お手入れ」
ポーン。
エレベーターが開くと同時に目黒は翼の手を離しドアの方へ向いた。
「降りるぞ」
「はい」
エレベーターから降りて、廊下を営業部へ向かいながら先を行く目黒の後ろを歩く。
途中すれ違う社員に挨拶する。
「おはようございます」
目黒や翼の所属する広域営業部の前に来ても、目黒は中へ入らずに廊下を進んでいく。
「あれ、チーム長?」
不思議に思って声をかけた翼へちらっと顔を向けて目黒は人差し指を立て、くいくいって1、2回曲げて見せた。
「ついてこい」
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