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言われた通りについて行くと、目黒は営業部の隣にある第1会議室のドアを開けた。
中へ入る目黒の後を追い、会議室の中へ入る翼。
会議室のドアを閉めた途端、目黒が翼の右手首を掴んだ。
「なんですか、いきなり」
「それは、俺のセリフだ。お前のこの手は朝からなんで俺に触ってきたんだ?」
「あ、だから、肌が綺麗だなぁって」
「そんなに触りたいなら」
目黒は、少し屈んで自分の顔に翼の手を当てる。
「チーム長、何するんです」
「ほら触れよ、触りたいならな。ただ、いきなりはやめろ。心臓に悪い」
触れた肌は、しっとりしているがベタついた感じはしない。
指先を少し滑らせると、やはり滑らかだ。顎の骨に当たり、シャープな顎をなぞるように指を動かしてみた。
「すごく…羨ましい肌質ですね」
「羨ましいか?」
「はい、とってもすべすべで吹出物もないし。生まれ持った肌質ですかねーきっと。いいなぁ」
「お前のものだ」
「は?」
「俺の肌は、お前のものだ」
「何?」
「俺と付き合えば、お前が羨ましいとする俺の肌はお前のもので、お前だけが俺に触れられる」
「付き合えばって…」
「何を血迷ってるんだ?不倫でも二股でもあるまいし」
血迷う?
また、変な日本語だ。
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