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ぎゅっと抱きしめられながら、翼の手が目黒の腰のあたりまで上がる。だけど、チーム長の背中へ手を回していいものやらどうやら戸惑っていた。 「もう一度言ってくれよ」 「それは、ちょっと出来ません」 「なんで、ケチだな。一回だけだからさ」 「恥ずかしいので…そうやすやすとは言えないですよ」 「誰も聞いてない」 「チーム長が聞いてますよね」 「当たり前だろ。俺も聞いてなかったら、お前の気持ち悪い独り言になっちゃうだろ」 気持ち悪いなんて言葉は余計だ。 「あのぅ、聞かなかったことにしてもらえませんか?」 「ばあか!そんなのできねーつうの!」 そう言って、目黒は抱きしめる力を少し緩めて翼の顔を見つめた。 「翼」 目黒に名前を呼ばれるとドキッと胸が高鳴る。 「は…はい」 「翼、承知してると思うが」 言葉を切り目黒は翼の瞳を見つめた。言葉をためる、いつもの目黒の手法。 大事な言葉は、十分な間を空けて言う。 「俺もお前が……こらえきれないくらい好き」 いつもどおりの変な告白。 再びぎゅっと抱きしめられる。 今度はチーム長の背中へ手を回していた。 顔を上げ見つめ合う。 少しずつ近づいてくる目黒に合わせるようにして静かに瞼を閉じた。 チーム長が好き……。 キスの途中で、そう呟いていた。
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