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「だからって」
「朝からチーム長に奉仕かよ。見上げた努力だな、ふん」
鼻で笑う徹の目は冷たくつり上がっている。
「徹には関係ない」
翼は冷たくあしらうようにして、徹の嫌みには耳を貸さないと決めた。
もはや、元カレの徹に私の行動をとやかく言う資格はないはずだ。
ムッとしながら徹の前を通りすぎて営業部のドアノブに手をかける。
すると、その手首を乱暴に徹がガシッと掴んできた。
「な、何?!」
驚いた翼は間近に迫ってきた徹の顔を見た。
「お前、正気か?」
「は?何」
「本気でチーム長の女になる気かよ」
「だから、徹には関係ないでしょう?」
「あるよ。黙って、お前が遊ばれるのを見てらんない」
「遊ばれるって......」
徹の下らない言葉なんか馬鹿みたいねって笑い飛ばしてしまいたかった。
くだらない。
ばかみたい。チーム長は何度も私を好きだって言ってくれたのだ。
「チーム長は、お前なんかに本気じゃないよ」
「なんでそんなことが徹にわかるのよ」
「同じ男だからだよ」
したり顔で徹はドアを開け先に中へ入っていく。
同じ男だから、なんだと言うのだろう。
自分と同じようにチーム長も遊びの女を作っているとでも言いたいのだろうか。
そんなわけがない。
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