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「えっ!? どうして? 私のこと、あまり好きじゃない……かな?」
「特別に好悪の感情は抱いておりません」
「抱いて……ないッ!」
小気味の良い返答は切れ味バツグンである。
まるで一刀両断されたかのように、女子大生は机に頭から崩れ落ちた。
そして休憩終了を迎えるその時まで、身動ぎひとつすることは無かった。
迎えた夕方5時。
朝当番はこれにて勤務終了となる。
フォグルは着替えを終え、いつものように裏口から店を出たのだが、すぐに呼び止められた。
「フォグルくーん!」
さらに声はもうひとつある。
「フォグル君、待って!」
店長と女子大生だ。
この組み合わせには不思議なものを感じた。
少なくとも店長は勤務中であるのだから。
「何かトラブルでしょうか?」
「えっとね、フォグルくん。この後カフェにでも行かない?」
「なぜですか?」
「えっと、その、すんごく面白い動画見つけたんだぁ」
「結構です」
「ウグッ!」
女子大生は胸の痛みを覚えたようにしながら、アスファルトの上に倒れた。
「それで店長。あなたは何かご用ですか?」
「私は、あれよ。ポップのお礼をしたくって! あと2時間待ってくれたら、ご飯とか色々とできる……」
「結構です」
「グフッ!」
「早く業務に戻ってください。皆が迷惑します」
「グハァ!」
霞二段。
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