40人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
第17話 見とれる程の切れ味
一ヶ月足らずの勤務にも関わらず、メキメキと頭角を現したフォグル。
その才覚は、単なるアルバイトの枠に収まる事はなく、幅広い分野にて重宝された。
例えば店内ポップ。
店長はPC画面で画像を比較し、悩んだ挙げ句にフォグルを呼び寄せた。
「ねぇフォグル君。今度の店長会議でさ、こ新商品のポップ案を出す事になってね。ふたつ考えたんだけど、どっちが良いかな?」
2種の違いは背景色のみだ。
どちらも大まかなデザインは同じで、中央に白ヌキ文字で『梅ぇバーガー 来月頭より販売開始!』とある。
その背景には製品写真が中央、他はベタ塗りとなっている。
このテスト画像を見て、フォグルは小さく首を横に振った。
「どちらも訴求に弱い、と感じました。」
「えっ、ほんと!? どの辺が?」
「そうですね。まず文字周りについてお話しします。日付を追加して、来月頭は補足扱いに。そして助詞は小さく、逆に製品名と日付けを大きく打ち出しましょう」
「うーん、どうだろうなぁ。今すぐテストデータを編集してみるね」
「下線を付けても良いでしょう。文字フチはもう一段太くしてグラデーションを……」
「ちょ、ちょい待って! まだロードが終わってないのぉぉ!」
最初のコメントを投稿しよう!