第17話 見とれる程の切れ味

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嬉しい悲鳴と共に画像の加工は為された。 当初のデザインなど面影すら残さぬ程の大工事だ。 後日、会議で発表したところ反響は上々。 店長に吹いていた向かい風も多少の落ち着きを見せるのだった。 もちろん、フォグルを頼るのは店長だけではない。 例えば先輩の男子学生などは、誇張なく毎日のように相談する。 仕事ではなく趣味の分野であるため、主に休憩時間にて持ちかけられるのだ。 「なぁフォグル。また聞いて良いか?」 「私で良ければどうぞ」 フォグルの持たされた弁当は極めて貧相であるため、昼休憩は暇を持て余すのが常だ。 なので、彼に断る理由など存在しない。 「この前さ、新キャラ引いたんだけど使い道が分かんなくって。どうしたら良いと思う?」 「わかりました。まずはキャラデータを見せていただけますか」 内容はもっぱらスマホゲームについてである。 フォグルはモバイルフォンなど持ち合わせていないので、プレイ経験はない。 それでもルールや仕様を覚えることで、たちまち名軍師のような閃きを得られるのだ。 「前々回引いた前衛キャラを外し、新キャラを入れてください」 回答に長考は必要なかった。 矢継ぎ早に改善案が投げ掛けられる。     
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