第17話 見とれる程の切れ味

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「絆関係は中央弓兵とし、陣形はサイドキル。技能設定は全てパッシブ。そうする事で十分な活躍に期待が持てるでしょう」 「ええー、この子を下げんの? 可愛いイラストだから気に入ってるんだけどなぁ」 「利を取るか否か、という天秤になります」 「ええっと、どうしようー。迷うなぁ」 「ねぇフォグルくん! ちょっと良いかな!」 マンツーマンの相談中に横やりが入り、スマホ青年は椅子から押し退けられた。 現れたのは同期の女子大生バイトである。 「フォグルくん、明後日の授業でレポート出すんだけどさ。それを手伝ってもらっても良いかな?」 「どうぞ。承ります」 「それで、ね。参考書が重くって家に置いてきたんだぁ。だからさ、今日のアルバイトが終わったら、私の家に来てほしいんだけど……」 露骨なお持ち帰り作戦である。 小柄な体型をフル活用した上目使い。 両者とも着席しているのにその技が成立するのは、彼女が必要以上に体を縮めているからだ。 どのようなシチュエーションであっても、己が最も可愛く映る仕草を研究済みである。 まさに恋愛モンスター。 基本的に『ノー』とは言わないフォグルには打ってつけの企みに思われたが、結果は周囲の予想に反したものとなった。 「申し訳ありません。仕事が終われば即刻帰宅する事にしていますので、お断りします」     
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