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いつの間にか前方は車が流れており、意図せず道路を封鎖する形となっている。
チッと舌打ちを鳴らし、再び急発進。
年代物の軽トラは、尻を叩かれた老馬のような悲鳴をあげて走り出した。
拠点に戻ると、ちょうど夕食時であった。
フォグルたちも身支度を整えてから食堂の列に並ぶ。
例によって怪人の方はスムーズであるが、フォグル側はやはり渋滞が起きていた。
この待機時間も慣れたものである。
「皆さん。お腹一杯食べられると良いですね」
せめて給料日くらいは贅沢を許してほしい。
そんな願いと希望を抱きつつ、自分の番が来るのを静かに待つ。
やがて窓口までやって来ると、今晩の食事を受け取ったのだが、思わず両目を疑ってしまった。
これには堪えきれずコックに質問を重ねた。
「すみません。他の料理はありますか?」
「ァア? んなもんねぇよ! 今日はそんだけだぁ!」
「今日の午前に少なくない額が振り込まれたはずです。資金難を理由に食事を絞るのは……」
「うっせぇ! 後がつかえてんだよ、早く退け!」
包丁で脅されるようにして追い出されてしまう。
彼のトレイには椎の実が2つ。
これだけである。
麦飯の1膳すら出されはしなかったのだ。
フォグルは列から外れると、奥に座る怪人席の方へと顔をむけた。
するとどうだろう。
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