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☆☆☆
「すごい……」
若竹家の小さな庭へ出て来た僕へ、柚木さんがそう言った。
「仕事だからね」
僕はそう答え、プランターに植えられている花を見つめた。
どれも綺麗に咲いていて、手入れが行き届いている。
「本当に蘇らせることができるんだね」
「なんだよ今更」
僕は柚木さんの方を見ずにそう言った。
仕事を他の人に見せたことがないから、恥ずかしかったこともある。
「だって、すごい力だよ? 特別な力!」
そう言って柚木さんは僕の手を握りしめてきた。
僕は驚いて顔をあげ、花の甘い香りもあっという間に感じなくなってしまった。
柚木さんの輝いた顔が目の前にあることで、心臓が早鐘を打ち始める。
「そんなことない」
僕は小さな声で否定して柚木さんの手をどかした。
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