2話

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 かつてのイツキも、今の両親に引き取られた時に、一人だけで部屋の中で眠るのが嫌だった。よく両親の部屋を訪ねては、一緒に眠っていた。一緒に眠っていると、心の中がぽかぽかと温かくなって、安心して眠ることができて夜を過ごせた。一人だけになってしまうと、どうしても不安で、寂しい気持ちが押し寄せてくる。  薔薇妖精であるユキは、確かにイツキを持ち主として選んでくれた。けれど、目覚めたばかりのユキは、今までいた環境が違うことに対して、戸惑ったり、不安になってしまうのは、無理もないと思った。それなら、イツキの出来る範囲でユキの不安を取り除いていこうと考えた。イツキは羽毛で出来た柔らかい枕と、絹のシーツだけを持って、ユキの手をぎゅっと握りながら、自分の寝室へ連れていくのだった。
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