〈第七章〉コンプレックス再び その2

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〈第七章〉コンプレックス再び その2

「誤解を恐れずに言ってしまうと、 ひろこさんはタカヒトにとって“最初の女”です。」 「は?」 何を言っているの? ひろこはびっくりして目を見開いた。 トオルは笑って続けた。 「いやね、あいつに女性経験が無かったというわけじゃないんですよ? ただ、あいつはあのとおり”王子様“でしょ? あいつが初めて王子から生身の男になった相手が、ひろこさんだったんです。」 噛み砕くようにトオルが言った。 「あいつ、淡白だし、付き合う女に手を出さないので有名で。 付き合っても肉体関係にならないから、 歴代の彼女たちは向こうから離れていきましたし あいつから誰かを好きになる事もありませんでした。」 「昔から王子然としていたのね。」 付き合い始めての一ヶ月。 毎日毎日やつれるほど求められていたのに、嘘のようである。 「今となっては信じられないけど・・・。」 「本当ですよ、ユキエに聞いてもらってもいい。 あいつはタカヒトのことを最初好きだったんです。 でもあまりに脈が無いので、俺が相談に乗ってるうちに・・・」 「恋に落ちたんだ?」 なんだかドラマのような話だと思った。 「いや、俺は最初からユキエが好きだったんです。タカヒトが羨ましくて。     
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