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「・・・・・ひろこさん、今日の帰り時間あります?」
「うん、大丈夫だけど?」
「じゃあ、うちに来ません?」
トオルの誘いに、ひろこは黙って頷いた。
レッスンが終わると、
彼の奥さんが娘を乗せた車で迎えに来てくれていた。
うわさには聞いていたが、会うのは初めてである。
ひろこは少し緊張しながら会釈する。
ユキエは色が白くて儚くて、
消えてしまいそうな繊細な女性だった。
「ひろこさんですね?はじめまして。」
にっこりと笑顔で挨拶されると、女のひろこでもドキドキした。
王子とトオルとユキエは同級生だから、
今年で29歳のはずだが
10代といわれても信じてしまうくらい初々しかった。
艶のあるストレートの髪が天女みたいだ。
「ユキエさん、こんばんは。
すみません、急にお邪魔しちゃって。」
ひろこは慌てて言うと、トオルに促されて車に乗り込んだ。
「ひろこさん、ユキエはいまだに学生に間違われるんですよ。
この間なんて、高校生にナンパされてた。」
トオルが自慢げに言う。
本当にユキエのことが好きで仕方ないと言う表情だった。
「ひゃあ!分かる!こんなに可愛かったら心配よね?」
ひろこは心から言った。
ユキエが苦笑する。
「もう、恥ずかしい。私そんなにモテませんよ!美雪もいるのに。」
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