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〈第十四章〉待ち伏せその7
トオルが車に戻ってくる。
ひろこは緊張でガチガチだった。
「ひろこさん、もういいよ。
タカヒトのところに行ってやって。」
微笑みながら、トオルが言った。
「ねえ、私たち大丈夫かな?」
ひろこはトオルに尋ねた。
彼を好きな事は確かだったけど、
自分に自信は無かった。
こんな卑屈な女でいいのか?と思う。
「ひろこさん、自信持ってください。
あいつには貴女しかいません。ほら、お腹をすかせたペットが待ってますよ。」
トオルがひろこの背中を押した。
「あいつ、アンパンとひろこさんを食べたくて待ってます。」
ふふふ。とトオルは笑った。
ひろこが車を降りると、トオルの車がゆっくりと走り去った。
ひろこは一人にされて
少し心細くなったが、
深呼吸してから、ゆっくりとタカヒトのほうへと歩き出していた。
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