〈第十七章〉年下の男の子

1/1
前へ
/51ページ
次へ

〈第十七章〉年下の男の子

その後、結局ひろこの分のアンパンも平らげた王子からの提案で 二人は牛丼屋に行く事にした。 行く道すがら、ガーベラの花束を渡されると ひろこの目から涙があふれてきた。 「ひろこさん、大丈夫!?」 王子が心配して、ポケットからくしゃくしゃになったハンカチを出して 差し出した。 「もう、汚いハンカチ!」 ひろこは泣きながら、笑い出した。 「大丈夫だよ、ありがとう。」 言いながら、そのくしゃくしゃのハンカチで涙をぬぐう。 「こういうの慣れてなくて。凄くうれしい。」 ひろこは王子の目を見ながら言った。 「喜んでくれて、ありがとう。 この花を見ていたら、ひろこさんに似てるなって思って 思わず買っちゃったんだ。 だけど、ひろこさんが泣き出したから、 花粉症とかのアレルギーが出たのかなと思って、びっくりしちゃった。」 ・・・・・・そう来るか! ひろこは一人で大笑いした。 もうこの人とは、一生一緒にいても飽きない気がする。 彼女は人目も気にせず、笑い転げていた。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加