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〈第十八章〉待ち伏せその後
「で、結局仲直りはしたけど、
プロポーズは出来ていない。と。」
トオルが呆れたように言う。
タカヒトは赤くなった。
「だって、あれから
アンパン食べて、牛丼食べて、気付いたら俺の家で爆睡してて・・・・。」
いつものカフェ、
人もまばらで居心地がいい。
あの日牛丼を食べた後、二人は離れがたく
気付けばタカヒトの家にいたのだった。
ひろこに誤解を謝って、
キスをして抱きしめた事までは覚えていたが、
寝落ちしていたようだ。
朝目覚めて、テーブルの上に
『今日は帰るね。おやすみなさい。』と
小さくて丸っこい字で書かれたメモを見た時、
起きたとき隣に彼女がいたら幸せだろうな。と彼は思った。
「あれだけ寝たの、いつ振りだろうって思うくらいスッキリしたよ。」
「そりゃそうだろ。お前一ヶ月くらい、ほとんど寝てなかろ?」
「うん。」
「何で早く俺に言わんかったん?
お前は勝手に悩んでたらいいけどさ、
だけど彼女は自分に自信をなくしてたんだぜ。」
「それは・・・・。」と、口ごもる。
自分で考えて解決しなければ!と、頑なに思っていたのだが
今思えば無駄な時間だった。
カナに言われた言葉が、頭をぐるぐると回った。
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