〈第四章〉カナのダメだし

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〈第四章〉カナのダメだし

「バッカじゃないの!!」 タカヒトから一通り話を聞いたカナは、 冷たい視線を向けた。 無精ひげはさすがに剃っているものの、 やつれた顔の彼は元が美形な分、 顔つきに凄みが増していた。 二ヶ月も前だったら、もうワンチャンス狙っていたかもしれない と思えるイケメン振りだったが、 今となってはある意味お似合いの二人を くっつけるのが天命だとカナは思っていた。 「バカって。」 タカヒトが苦笑する。 悔しいけどその顔もカッコ良かった。腹が立つ。 「だいたい、やってしまったことを気にしすぎ! 切り替えが遅い。フォローが無い! ダメ営業じゃないの!!!」 「・・・・・・そう言われると、何も言えねえ。」 タカヒトが笑い出した。 カナの指摘は上司のそれと変わらない。 このクレバーで強気な毒舌に惹かれてたんだよな。 と、タカヒトは思い出していた。 もちろん、ユカやひろこさんにもそれぞれの毒があり その部分に魅力を感じている。 良い意味でも、悪い意味でも素直に育ってきた彼は、 女性のもっている毒が好きだった。 人は自分に無いものを求めるが、 彼はまさしくそうだった。 「ひろこ先輩の事、好きなんでしょ? ずっとストーカーのような目つきで見てたよね、ここ最近。」     
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