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「私だって、本当は自分が作ったマカロンがよかったけど」
美織は少し拗ねたような顔をした。
「ね、ポッキーゲーム、わかる?」
「ポッキーゲーム? ……端と端から食うやつ?」
「うん。あれしよ」
「は?」
「あれで、半分こ」
美織は照れたように笑って、ピンクのハートマカロンを口に頬張った。
「んんんー」
赤い顔をして、マカロンごと顔を前に突き出して、もごもごと何かを訴える。
恐らく「早くー」と言っているに違いない。
……なんだこの夢。
俺、美織に何させてんの?
妄想が低俗過ぎて、思わず鼻で笑った。
でも、夢だし幻だし、いいよな?
俺は突き出されたマカロンを、パクリと口に頬張った。
やっぱりくそ甘い。
すぐ目の前に美織の顔があって、こんなの嘘なのに、馬鹿みたいにドキドキした。
落とさないように気をつけながら、互いに少しずつ食べ進めたら、当たり前のように唇に辿り着いた。
美織と、初めてのキス。
柔らかくてとろけるように甘い感触が、触れた唇を刺激する。
全身を暑くさせて、脳みそまで糖分でとろけそう。
どうにかなりそうだった。
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