俺と幼馴染とチョコレート

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 戸惑う世莉の冷たい頭を撫でてキッチンへ向かうと、ひまわり柄のマグカップが目に入った。    ……去年のホワイトデーに俺がやったのだ。  何をやったらいいのかわからなかったから欲しいものを言えっつったらこれって。  色気がないにもほどがある。小学生かよ。  呆れながらそれに牛乳を注ぎ、電子レンジで温めた。  ほこほこと立ち上る湯気に満足しながら、適当な大きさに割った板チョコをぶちこんで混ぜる。全力で混ぜる。  完成。超お手軽ホットチョコレート。  ほわりと漂う甘い匂いに世莉の元へと向かう足が軽くなる。どんな顔、するかな。 「おら、世莉」 「な、なにやってたの……?」 「勝手に色々使った」 「え……」  戸惑う世莉の眼前にひまわり柄のマグカップを差し出すと、ためらいがちに受け取った。   「……なげえんだよ、髪」  顔を覆う長い髪をゆっくりと横に流すと、いつも無駄に緊張しっぱなしで鋭く尖っている目が綻んでいた。  いつもは俺が近付くだけで奇声を上げて飛びのくというのに、今はホットチョコレートの効果かまったく気にならないらしい。ふうふうと一生懸命冷ましている。そういえば、猫舌だった。 .
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