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「ぽんた……何が見える……? 」
あつにぃが青ざめた表情で問う。
「いやぁ?……知らない方がいいね。3人とも振り返るな」
俺のその言葉に3人はキュッと唇を噛み締める。
元々霊感が強く、色々見てきた俺が顔を引き攣らせるような惨事なのだ。
見られて卒倒されても困る。
ドォン……ドォン……
「なぁ?……どうするん……ぽんたぁ」
せいじにぃの声も、聞き取りにくくなってくる程太鼓の音が近づいている。
「どうしたもんかね……流石の俺も……っ」
彼らの背後の惨事から目を離さず悩んでいると、ゆったんは隣のあつにぃの服の裾を掴んでカタカタ震えだす。
ドォン……!ドォン……!
「っ…………だれか……っ」
声こそ聞えなかったが、ゆったんの口が、確かにそう動いて。
ドォン!!!!
PLLLLL……!
俺のスマホが鳴る。
バッと握りしめていたスマホを確認し、着信相手を見る。
『いよねぇ』
....
ガタン……ゴトン……
「っあれ……、ってやば!おい!みんな起きろ!!」
ふと目が覚めた。
そこは夕日の差し込む電車の中。
気づいた瞬間、アナウンスを聞いて学校の最寄り駅だと知り慌てて隣の3人を引っぱたいて起こす。
バタバタと何とか全員が電車を降り、オレンジ色のホームを歩いて帰路に着く。
「いつの間に寝とったんやろ……ふぁあ」
せいじにぃが大きな欠伸を口元も隠さず零す。
「僕も全然気づかんだ……普段あんまり寝やんのに」
ゆったんも眠たそうに目を擦って、改札に定期をかざす。
その瞬間、ふと違和感を感じ、1度立ちどまり首を傾げていたが、何事もなく通る。
「っつか……なんか夢見とった気がするっちゃけど……」
あつにぃもだるそうに首を回してボキボキと骨を鳴らす。
「あ、なんか俺も夢見たような……?」
そう言われると、と俺も思考を巡らせるが、半ばで諦める。
ふと、握りしめていたスマホを確認する。
「ん……??」
その画面は、着信履歴のページになっていて。
「……あれ、いつの間にいよねぇから着信きてた………………?」
学校に着く頃には、今日見た映画の内容も、みんなまともに覚えていなかった。
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