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「…………降りる?」
俺がそう零すと、ゆったんは大きく首を横に振る。
「っどこかわからん所に降りても……っ」
「でもこのまま乗っとっても知らんところ行くかもしれんで?」
せいじにぃが反論する。
「降りよう……次の電車待とう」
あつにぃが静かに言う。
一瞬の間があり、全員が座席から立ち上がる。
恐る恐る電車を降りると、またしてもアナウンス無しに電車のドアは閉まり、無音で発車して行ってしまった。
「つか、ここ何駅……?」
降り立った駅は誰もおらず、街灯のみが辺りを灯し、やはり不気味な雰囲気を醸し出していた。
少しホームを散策して、駅名看板を見つけた俺が、みんなを呼ぶ。
「…………なあ、みんな、『きさらぎ駅』って知ってる……??」
その名前を聞いた途端
あつにぃが顔をゆがめる。
「あつにぃ、知ってるの……??」
ゆったんが恐る恐るあつにぃに尋ねる。
「聞いたことある……都市伝説の駅……」
「都市伝説??」
俺が続きを促す。
「そう……存在しない駅、らしい……」
「存在しやん……って、実際俺らおるしなぁ?」
せいじにぃが首を傾げる。
すると、とても静かだった周囲から、小さく太鼓の音や笛の音が聞こえ出す。
「っえ……?なに?祭り?」
ゆったんが駅の外をキョロキョロと見渡す。
その間にもその音は近づいてくる。
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