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◇  数日後、わたしは香苗と連れ立って下校していた。香苗から、一緒に帰らないかとお誘いがあったのだ。  香苗の様子を一目見て、わたしは嫌な予感がしていた。  歩きながら、香苗は言った。 「あのね……わたし、鈴木に告白された……」 「えっ……」  思わず拳を握りしめてしまう。  どうか、単純に驚いただけなふうに見えていますように。  顔は引きつっていないだろうか。わかっていたことなのに、やっぱりショックで、泣き出しそうになるのを必死にこらえる。 「……そうなんだ。鈴木くんが? へー、びっくり!」  平静を装った相づちは、いかにも間が抜けていた。 「それで、どう返事したの? お付き合いするの?」 「ううん、まだ返事してない」 「え、なんで。鈴木くん、いいじゃない。香苗ちゃん、他に好きな人でもいるの」  白々しい言葉を吐きながら、それはそれで嫌だな、と思っていると、香苗は首を横に振った。 「ならいいじゃない。付き合えば?」 「……だって……」 「なに?」  うつむき加減だった香苗が、まっすぐにわたしを見た。 「だって、絵美ちゃん……鈴木のこと好きなんじゃないの?」  ――は?  被った仮面が一瞬消えそうになる。  動揺をごまかそうと、慌ててわたしは笑顔を浮かべた。
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