第27章  降り注ぐアネモネ

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第27章  降り注ぐアネモネ

    昔話は、好きじゃない。童話も寓話もなにもかも。  最後は、〝倖せに〟なんて・・・夢見がちにも程がある。だから私は、お金を貯めて勉強を頑張って逃げだすことだけを考えていた。  信じてなんか・・・いなかったのに。  《 《 「珱月・・・・・・ッ」 「っ、もっと・・・ゆっくり・・・・・・ッ」  荒い吐息に獣のようなオスの顔をしながら律動をする行為中の彼に見とれるのが日課になったのは・・・・・・何度目の褥からだったか・・・。  綺麗なプラチナブロンドが揺れて陶器のような白い肌が少しだけ上気して桃色に染まって宝石のようなエメラルドの瞳が欲望に忠実にギラギラと輝いている。そんな姿をさせているのが自分なのだと言う優越感が身体も心も満たしていく。  卑猥な音もベッドの軋みさえも効果音に過ぎない。美しい人が自分を貪っている。   
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