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ここは、慈愛大学附属病院。
私、藤原光成は大学生であるが、慈愛大学の生徒ではない。
ではなぜここにいるのかというと、私にとって大切なお方がお世話になっているからだ。
そう、私の想い人である源建先輩がこの慈愛大学附属病院に入院しておられるのだ。
建先輩は利き腕を骨折するという大怪我を負われてしまった。
しかも本当なら私がその怪我を負うはずだったのに、建先輩が身代わりになってしまったのである。
建先輩はそそっかしくドジな一面があり、年長者であるにも関わらずきつく叱責してしまうことが少なくない。
しかし彼は決してただのボンヤリではないと私は見抜いている。
うっかりや簡単なミスは日常的であるが、その一面だけでボンヤリだと決めつけてしまうのは如何なものか。
彼は人の心の機敏には人一倍敏感で、鋭い洞察力を持ち合わせている。
私だけしか知らない建先輩の秘密の一面だ。
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