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建先輩の病室のドアが少し開いている。
それでも勝手に開けるわけにはいかないから、ノックしようとしたその時。
「源さん、今日も平熱でよかったですね。もうすぐリハビリの時間ですから」
看護師さんがいるようだから、ノックをやめて少し待つことにした。
「リハビリって今日もあの実習生の?」
「そうですよ。理学療法士の卵の村田先生が担当です。私も看護学部の実習生ですから」
慈愛大学の学生が実習に来ているらしい。
実習生に大事な建先輩の看護やリハビリを任せていて大丈夫なのだろうか?
「では、失礼します」
部屋から出てきた看護実習生に会釈をし、改めてノックしてから病室へ入る。
「建殿、ご機嫌はいかがですか?」
「おお!光成。今日もきてくれたのか。ありがたいけど毎日通うのも大変だろう。そんなに心配してくれなくとも大丈夫だから」
ほら、自分のことより私のことを気遣ってくれる。
こういうお人なのだ。
「私のことよりもご自分の怪我を治すことを最優先に考えてください。それとも私が建殿を見舞うのは迷惑ですか?」
「そんな訳ないだろ!入院って結構退屈なんだ。いつもありがとう」
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