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 学校の帰り道、ぐうぜん姉ちゃんに会った。 「姉ちゃん」 「あ、翔太。今日はやいね。部活は?」 「期末テスト近いから勉強しろってさ。ったく、どうせ帰ってもしないのに」 「せっかく時間あるんだから勉強しなさいよ」 「はいはい。あれ、それより今日は彼氏といっしょじゃないの?」 「……あぁ……うん」 「珍しいこともあるんだな。しかも、買い食いなんて」 「まぁね」 「ダイエット中じゃなかったっけ? 彼氏のために痩せるとか何とか言ってたくせに」 「……やめた」 「え?」 「ダイエットやめた。……もう太ってもいい」  そう言って、ホットドックをほおばる姉ちゃんは涙目だった。  どうやら彼氏に振られたようだ。 「なるほど。つまりやけ食いってことか」 「っ……ち、ちが」 「振られた理由は?」 「な、なんでそれを」 「姉ちゃん、わかりやすいもん。で、理由は? また、いつものように束縛したんじゃないの?」  すると、姉ちゃんはポロポロ涙を流して泣き出した。 「翔太~~、聞いてよぉ!! あいつひどいのよ? あたしになんて言ったと思う!? 気持ちが重いって……あんなに尽くしたのに信じらんないっ! 翔太もそう思うでしょ!?」 「はいはい」  その日は、夜遅くまで愚痴をきかされた。  そういうわけで、テスト勉強できなかったのは言うまでもない。
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