0人が本棚に入れています
本棚に追加
人生依存症
昔から死というものが怖くて怖くて堪らなかった。
よく、死というものはドラマティックに描かれる。
歌であれ物語であれ、皆がそれを特別なものだと崇め立てる。
けど、それは祟りを恐れる人間が神を崇拝するものとなんら変わりはない。
死は死だ。
それ以上でもなければそれ以下でもない。
ただ、死だ。
自分は、そんな死というものが昔から怖かった。
俺は、そんな死というものが昔から嫌いだった。
僕は、そんな死というものを昔から意識しないようにしていた。
今でも覚えている。
小学校の時、2年生ごろから5年生ごろまでずっと、月に一度ほどのペースで死の恐怖に耐えきれなくなって泣いた。
「ママ。俺、死にたくないよ。死ぬのが怖いよ」
そうやってみっともなく母親に抱きつきながら俺は泣いた。
すると、母親は決まってこういう。
「大丈夫。死んでも生まれ変わってまた出会えるから」
けど、その慰めは僕の心を抉った。
より一層の恐怖を刻みつけた。
「嫌だよ。だって、その時は今の記憶がなくなってるんでしょ? 分かるよ。俺は前の人勢の記憶がないんだから」
けど、母はそんな俺の言葉を聞いて笑い飛ばす。
最初のコメントを投稿しよう!