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大丈夫。覚えてなくても必ず巡り合えるし、絶対に幸せになれる。
そんな嘘を笑顔のまま吐き溢す。
「そうじゃないんだ。俺は今まで会った全ての人が好きなんだよ。ママもじいじも友達も、みんなみんな好きなんだよ。だから、俺は別に生まれ変わってみんなと会いたいんじゃなくて、みんなの事を忘れたくないだけなんだ。みんなと過ごした楽しい時間を忘れたくないだけなんだ」
泣きながら。
ただ泣きながら。
俺は死にたくないんだと、死んでみんなを忘れるのが怖いんだと叫んだ。
誰も忘れたく無い。年をとりたく無い。死にたく無い。永遠に今が続いて欲しい。
最初は母親にその悩みを解決して欲しいと思って話を聞いてもらうのだが、毎回最後には相談ではなく独白へと変わってしまう。
そして、俺の死にたく無いという誰もが抱くような普遍的な感情は知らぬ間にどこかへと溶け去っている。
そんな幼少期というか、子供時代を過ごした僕は’死にたく無い’と言う願いを常に脳裏に焼き付けたまま大人になった。
けど、大人になるにつれてその死にたく無いという感情はどんどんと薄れていった。
いや、薄れていったというよりは姿形を変えた。
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