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近くにいた鳥が、その音に驚いて一斉に羽ばたいた。
背中ごしに聞こえた、声と乾いた破裂音。
強い衝撃が背中に走る。力が入らない。声も出ない。
ミアと地面との距離が、ゼロになった。
雪の残る石畳の冷たさが、頬と左半身から染み込んでくる。
ミアの目の前に落ちたダイヤを拾うヒュー。
「ホント、超楽勝だよな」
バディを組んで初めて見る、他人を見下す眼。
その眼を、驚きと怒りの混じった視線で見つめることしかできない……。
「商売敵は少しでも減らしとかないとな」
ヒューはさらに2発、無慈悲な弾丸を浴びせると、静かに遠ざかっていった……。
街は、何事もなかったかのように、風が吹き、静かに雪が舞う。
逃げていた鳥達も戻ってきて、ミアの周りに降りていく。
いつもと変わらぬ日常が、街に訪れる。
そこに、一人の少女の死体があることを除いて……。
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