バーコード刑事 2

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天才ハッカーと呼ばれる俺でも、今日の案件は厄介だった。 ようやく仕事を終え、自宅に戻ったのは真夜中だ。 疲れで朦朧とした意識の中、玄関の鍵を開け、明かりをつける気力もなく、奥の寝室へとたどり着き、ベッドに倒れこんだ。 泥のように眠るとは、このことだろう。 自らの正体をなくし、深い夢に沈む。 眩い光が寝室の窓に注がれ始めた時、ようやく目を覚ました。 昨日、どうやって自宅へ戻ってきたのか、うっすらと思い出しながら、体を起こす。 自分の身体に、毛布がかけられていた。 昨晩は、毛布をかける気力もなかったように思うのだが。 ベッドから起き上がり、まずはシャワーでも浴びようかと寝室のドアを開ける。 その瞬間、懐かしい香りに包まれた。 味噌汁の香りだ。 キッチンから響く、何かを刻む包丁のリズミカルな音。 まるで、実家に戻ってきたようだ。 母親が来ているのか。 いや、俺の住所は知らないはず。 おそるおそるキッチンへ近づく。 何者かが、こちらに背中を向けて、料理を作っている様子。 レースのエプロンを身につけ、短めのスカートから伸びるすらりと長い脚。 程よい肉付きのふくらはぎには紺色のハイソックス。 膝から太股にかけては艶かしい曲線を描き、柔らかく触り心地の良さそうな肌質。 思わずため息が出てしまうほどの美しさ。 理想の脚だ。 そして、この脚には見覚えがある。 「目覚めましたか」 くるりとふりかえったのは、バーコード頭で口ひげを生やし、眼鏡をかけたオッサンだった。
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